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マンション管理組合でも借入れできる?不足した修繕積立金を工面する方法について解説
マンションは定期的に修繕工事が必要ですが、「修繕積立金が不足している場合は借入れできるのか」と疑問に感じている方も多いでしょう。マンションの管理組合でも修繕費用の借入れは可能ですが、借入先や借入条件などを事前に把握することが重要です。そこで本記事では、マンション管理組合で修繕費用の借入れが必要となる理由や借入れのメリット・デメリット、修繕積立金の不足を防ぐ対処などを解説します。本記事を読むことで修繕積立金や修繕工事の重要性を理解でき、マンションの資産価値向上につながるでしょう。
マンション管理組合で修繕費用の借入れが必要となる理由
マンションの維持や管理を目的としたマンション管理組合において、修繕費用の借入れが必要となる主な理由は以下のとおりです。
(1)マンションの修繕積立金の設定額が低い
(2)メンテナンスコストのかかる設備が導入されている
(3)計画どおりに徴収できていない
(4)築古マンションである
順番に詳しく見ていきましょう。
(1)マンションの修繕積立金の設定額が低い
マンションの修繕積立金の設定額が低いと、大規模修繕工事を実施するために必要な資金が不足する事態に陥ります。長期修繕計画に基づいて、修繕積立金が設定されていないと起こりやすい問題です。
国土交通省が行った「平成30年度マンション総合調査」によると、平成30年度のマンションの1戸あたりの修繕積立金の平均は1ヶ月あたり11,243円で、駐車場使用料を含む場合の平均は1ヶ月あたり12,268円でした。
修繕積立金の平均額は年々上昇しており、マンションの修繕積立金の設定額が平均よりも極端に低い場合は見直しが必要です。
(2)メンテナンスコストのかかる設備が導入されている
エレベーターや機械式駐車場など、メンテナンスコストのかかる設備がマンションに導入されていると修繕費用が高くなり、借入れが必要となる場合があります。エレベーターの保守点検費用は、30年間でおよそ1,000万円になるケースもあります。
機械式駐車場は、定期点検や部品交換などでメンテナンス費用がかさみ、他の共用部分よりも修繕費用が高くなりがちです。駐車場使用料でメンテナンス費用がまかなえないと、修繕積立金や管理費から充当しなければなりません。
その結果、修繕積立金が不足してしまい、借入れが必要になるケースがあるのです。
(3)計画通りに徴収できていない
滞納者や空室が原因で、マンションの修繕積立金が計画通りに徴収できていないと、借入れが必要になるケースがあります。前述の国土交通省の調査によると、管理費などの滞納が発生しているマンションは約24%で、築年数が古くなるほど滞納の発生率が高くなる傾向がありました。
滞納する原因のひとつが、住民の高齢化です。同じく国土交通省の調査によると、築年数が古いマンションほど70歳以上の住民の割合が高くなっており、昭和54年以前に建てられたマンションにおける70歳以上の住民の割合は47.2%でした。
老後資金の不足などによる高齢者の滞納が増えており、修繕積立金を計画どおりに徴収できないと借入れせざるを得なくなります。
(4)築古マンションである
マンションの築年数が古いと修繕箇所も多くなり、修繕費用がかさむ傾向にあります。他にも、マンション完成当初の部品が廃盤になっていれば、設備一式の入れ替えが必要になり、高額な費用がかかるケースもあります。
大規模修繕工事費用の借入先とは
マンションの大規模修繕工事費用の主な借入先は以下の2つです。
- 住宅金融支援機構からの借入れ
- 民間の金融機関からの借入れ
借入先によって融資額や返済期間は異なるため、詳しく見ていきましょう。
住宅金融支援機構からの借入れ
独立行政法人の住宅金融支援機構は、マンション管理組合が対象のローン「マンション共用部分リフォーム融資」を提供しています。
融資を受けるには、以下のような条件を満たす必要があります。
- マンションの共用部分の工事であること
- 総会で決められた事項について決議されていること
- 修繕積立金が1年以上定期的に積み立てられていること
- 滞納割合が原則10%以内であること
- 毎月の返済額が毎月徴収する修繕積立金の80%以内の金額であること
他にも条件があるため、詳しく知りたい方は住宅金融支援機構のホームページをご確認ください。
・融資額
「マンション共用部分リフォーム融資」の融資額は、融資対象工事費以内となります。工事において補助金が交付される場合は、補助金を除いた金額が対象です。
融資は10万円単位で受けられ、最低額は100万円です。
・返済期間
「マンション共用部分リフォーム融資」の返済期間は、1年以上10年以内です。ただし、以下に該当する工事の場合は、返済期間を1年以上20年以内にできます。
- 耐震改修工事
- 浸水対策工事
- 省エネルギー対策工事
- 給排水管取替工事
- 玄関またはサッシ取替工事
- エレベーター取替または新設工事
- アスベスト対策工事
- 機械式駐車場解体工事
返済期間が長くなると月々の返済額は抑えられますが、総支払額は大きくなるため注意しましょう。
・融資金利
「マンション共用部分リフォーム融資」の融資金利は、全期間固定金利型です。
令和5年9月時点では、返済期間1年以上10年以内の融資金利は年1.01%で、耐震改修工事や浸水対策工事などを伴う場合は年0.81%です。ただし、融資金利は毎月見直されるため注意しましょう。
なお、条件を満たせば融資金利をさらに抑えることも可能です。詳しく知りたい方は、住宅金融支援機構のホームページをご確認ください。
民間の金融機関からの借入れ
住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」の条件をクリアできなかった場合、普通銀行や信託銀行など民間の金融機関から借入れを行います。
民間の金融機関は、住宅金融支援機構よりも申請の手間が少ない反面、審査が厳しい傾向があります。保証人や担保が必要になるケースも多いでしょう。
金融機関によって融資額や返済期間、融資金利など条件が異なるため、借入前に内容を把握しましょう。
セゾンファンデックスのマンション管理組合ローン
民間の金融機関は数多くありますが、ここでおすすめしたいのがセゾンファンデックスの「マンション管理組合ローン」です。
保証料は不要で、100万円の小規模修繕工事から5億円の大規模修繕工事まで融資を受けられます。修繕積立金が貯まれば、繰り上げ返済も可能です。
住宅金融支援機構よりもセゾンのマンション管理組合ローンのほうが、以下のように返済期間・滞納割合の条件で利用しやすくなっています。
セゾンファンデックスのマンション管理組合ローン
返済期間:1年以上20年以内
滞納割合:20%以内
住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資
返済期間:1年以上10年以内(一部の工事は1年以上20年以内)
滞納割合:10%以内
借入れする際は、借入先の条件を調べて希望に合うものを選ぶことが重要です。住宅金融支援機構の融資を受けられなかった方や、返済期間を長くしたい方は、セゾンファンデックスのマンション管理組合ローンをぜひご利用ください。
借入れする際のメリット・デメリット
マンション管理組合で修繕費用の借入れをする際は、メリット・デメリットを把握しておきましょう。本章では、それぞれの内容を解説します。
メリット
マンション管理組合が修繕費用を借入れする際のメリットは以下のとおりです。
- 修繕工事を引き延ばす必要がない
- 資産価値が上がる
それぞれ順番に解説していきます。
・修繕工事を引き延ばす必要がない
借入れをすることで、マンションの大規模修繕工事を引き延ばす必要がなくなります。
修繕工事を引き延ばすとマンションの劣化が進んでしまい、事件や事故のリスクが高まるだけでなく、さらなる劣化で修繕費用が高額になる恐れがあります。
マンションは日々劣化するため、適切なタイミングで修繕工事を実施することが重要です。
・資産価値が上がる
借入れを行い修繕工事を実施することで、マンションの老朽化による資産価値の低下を避けられます。マンションの老朽化が進行すると、空室の増加や住民からのクレームが発生する可能性が高まるでしょう。
マンションの外観をきれいにしたり最新設備の導入をしたりすれば、空室の改善も期待できます。借入れをして適切なタイミングで修繕工事を実施することで、マンションの資産価値を上げられるでしょう。
デメリット
続いて、マンション管理組合が修繕費用を借入れする際のデメリットを紹介します。
・修繕積立金の値上げが必要
借入れをすることで、修繕積立金の値上げが必要になります。借入れの返済に修繕積立金を充当しなければならず、値上げをしなければ、次の大規模修繕にかかる工事費用を確保できなくなるためです。
また、修繕積立金の値上げや借入れは、マンションの購入検討者からすると不安材料となり、購入意欲資産価値を下げてしまいます。。
修繕積立金を確保して、借入れをせずに修繕工事を行うことが最善です。借りる場合もなるべく早期に返済できる計画を立てましょう。
修繕積立金の不足を防ぐ対処
マンション管理組合が修繕費用を借入れするメリット・デメリットがわかったところで、修繕積立金の不足を防ぐ主な対処法として2つ紹介します。
修繕工事を借入金に頼らず修繕積立金で行うために、それぞれの内容を確認していきましょう。
長期修繕計画の見直し
まずは、マンションごとに作成される長期修繕計画の根本的見直しを行いましょう。長期修繕計画とは、マンションの大規模修繕やメンテナンスなどの予定を長期的に見据えて作成した計画のことです。
一般的には10〜20年単位で長期修繕計画が立てられ、5年を目安に見直されるケースが多いです。
修繕計画や修繕積立金の設定金額は、計画作成時点の予測に過ぎません。そのため、修繕積立金が不足する事態を避けるために、長期修繕計画を定期的に見直すことが重要です。
長期修繕計画は、国土交通省のガイドラインに基づいて作成するのがおすすめです。計画の作成が難しい場合は、外部へ委託して作成してもらうケースもあります。
コストの見直し
長期修繕計画と合わせて、マンションにかかるコストを削減できるか見直すことも重要です。具体的には、以下のような内容を見直してみましょう。
- マンションの管理組合が委託している管理会社への委託金
- 共用部分の電気代
- マンションの損害保険契約
- 機械式駐車場の平面化
管理会社は、マンションの販売会社と同じ系列であることが多く、その場合委託金が高く設定されているケースがあります。マンションの管理会社を変更(リプレイス)することで、コストを大きく削減できる可能性があります。
他にも、メンテナンスコストのかかる機械式駐車場を解体し平面化すれば、コスト削減が期待できるでしょう。
マンションにかかるコストを見直し、なるべく融資を受けずに修繕工事を行いましょう。
おわりに
修繕積立金が不足している場合、マンション管理組合でも修繕費用を借入れすることは可能です。借入れすることでマンションの修繕工事を引き延ばす必要がなくなり、資産価値の向上につながります。
修繕費用の借入先は、セゾンファンデックスの「マンション管理組合ローン」がおすすめです。返済期間が20年まで設定できるため、住宅金融支援機構よりも月々の返済負担を抑えられます。
修繕工事などマンションの老朽化への対応は、引き延ばさないことが重要です。マンションの資産価値を下げないためにも、セゾンファンデックスのマンション管理組合ローンなどで資金調達を行い、適切なタイミングでマンションの修繕工事を実施しましょう。